今回のテーマは、「顔のエイジング・・・毛穴編」です。
皆さんは、年齢を重ねて、一番気になる肌の変化は何でしょうか?
今年で59歳になる私は、最近目周りがすごく気になるようになりました。目じりのシワ。目を細めて笑っている時は気づきませんが、鏡を見た時、「ハッ?」としますね。また、目の上のたるみも、「あれ、私って一重だった?」みたいな感じで腫れぼったいし、アイラインを引くのにガタガタしてまっすぐ引けないし・・・。
そういえば40歳に突入した際、最初に気になったのは毛穴でした。鼻の毛穴はもちろんですが、鼻の横の頬あたりにある毛穴。若いころは、毛穴なんかあった?って感じでしたが、なんと縦長に伸びた楕円形の毛穴が・・・。ショックでした。
一般的に、30歳後半あたりから顔の毛穴が気になり始めると言われています。10代、20代の毛穴と言えばニキビですね。ニキビは若さの象徴みたいなところもありますが、ニキビとは尋常性ざ瘡という病気で、毛穴の中に皮脂がたまることで起こる皮膚の慢性疾患です。皮脂のたまった毛穴にアクネ菌が増えると、炎症を起こして赤く隆起したり膿がたまったりするので、強い炎症の場合は周辺皮膚に影響して跡が残ったりする場合があります。
でも大人になるにつれて、毛穴の大きさや、毛穴の黒ずみが気になりだします。年齢とともに皮脂の分泌も落ち着いてきているので、ニキビよりも、皮脂が詰まっていない毛穴の大きさや、皮脂の黒ずみ(汚れ)が気になるわけです。
正常な毛穴、黒ずみ毛穴、たるみ毛穴、開き毛穴、詰まり毛穴、デコボコ毛穴のイラスト
どうして年齢を重ねると、毛穴が気になるのでしょうか?
どうして???
一つは、皮膚の表皮層(角層のすぐ下にある層です)に原因があります。表皮層をゴム紐だと考えてください。ゴム紐は、引っ張ったままだとだんだん伸びてしまいます。毛穴はゴム風船と同じです。ゴム風船もずっと空気が入った状態だと、時間とともに伸びてフガフガになってしまい、同時に空気を入れる入口部分も伸びて大きくなってしまいます。これがまさに毛穴が目立っている状態です。
2つ目の理由は、たるみです。頬の毛穴が目立つように感じるのは、皮膚が重力に負けて下に落ち込んでしまうことが原因です。頬がたるんでくると、頬の皮膚は下に伸びることになります。その結果、本来円形であるはずの毛穴の形状は、下に伸びるために、楕円形や帯のように見える、これを帯状毛穴と言ったりしますね。
エイジングは、日々刻々と進行しているので、ある日突然急激に皮膚が変わるわけではありません。エイジングをしないわけにはいきません。
それではどうやって目立った毛穴を治せばいいのでしょうか?
どうやって治すの???
それは、原因である表皮層(イラストのピンクの部分)に、ゴムのような性質を回復させることです。たるみの原因は皮膚の深いところに原因があるので、すぐには治すことが難しいですが、毛穴をハリのあるゴム風船に戻すことができれば、毛穴は目立たなくなります。
表皮層は、表皮細胞(ケラチノサイト)が積み重なった構造をしています。細胞がどんどん増えて層が厚くなっていけば、伸びてスカスカになってしまった表皮層は、ゴムのようにハリのある(弾性力と言います)状態になり、伸びにくく、極力縮むような性質を持つようになります。その結果、毛穴は皮脂も詰まりにくく、汚れも入りにくく、たとえ入ったとしても縮む性質のために排出されるようになるので、どんどん目立たなくなるわけです。
では、表皮層の細胞たちをどうやって増やしたらいいのでしょうか?
どうやって増やすの???
表皮の細胞たちを増やすことができる成分として有名なのが、ビタミンAです。最近ではレチノールという名前で知られるようになりました。レチノールが皮膚の細胞のそばにやってくると、レチノールが入り込めるポケットを持った皮膚の細胞は、ポケットの中にレチノールを入れます。ポケットに入ったレチノールはそのまま細胞内の核に到達します。核の中に入ると、レチノールはレチノイン酸【トレチノインとも言います】というパワーアップしたビタミンAに変身をして、細胞をもっと増やすように細胞自身に指令を出すので、細胞はどんどん増えていくことになります。
レチノイン酸は、重症なニキビの治療薬としても使われ、レチノイン酸の仲間をレチノイドと呼びますが、この仲間たちはニキビの治療薬や、美容皮膚科で毛穴治療などにも使われています。
レチノールは、レチノイン酸よりも約1000分の1の効果と言われていますが、その分副作用が少ないことから一般の化粧品に配合されています。
次回は、顔のエイジング・・・シワ編です。