今回のテーマは、「肌のうるおいの正体!?」です。
スキンケア商品を選ぶ際、皆さんは何をポイントにして選びますか?弊社では商品開発する際、まず社員が使ってみますが、どの人も必ず保湿感の良し悪しを評価します。
「保湿感」とは何でしょうか?しっとりする感じ。手に吸いつく感じ。肌がツヤっとしている感じ。肌がやわらかい感じ。感覚はそれぞれだと思いますが、適度なうるおいは肌を美しく見せると言われています。
「うるおい」と言うと、皆さんは「水」を思い浮かべますね。化粧水という商品があるのは、肌に水を与える役割のためです。では水を補充していれば、保湿感を感じるのでしょうか?
答はNOです。保湿感を感じるためには水だけでは難しく、少なくとも3つの条件があります。詳しい話をする前に、まずは、なぜ肌にうるおいは必要なのでしょうか?
魚は、体の表面がヌルヌルしていますね。これは体を守るためにムチンという糖タンパク質で覆われているためです。ムチンは水に溶けるとヌルヌルした状態になります。ヌルヌルしたムチンは泳いでいても簡単に取れないため、体を守るバリアとしての機能を発揮します。では陸上で生きている動物たちはどうでしょうか?ヌルヌルした物質で保護されているのは両生類など、やはり水の中で生活している生物だけです。
人間はどうなの??
私たち人間はどうでしょうか?空気の中で生きている人間の全身を覆っているのは皮膚です。しかし、空気中のため簡単に体内の水分が蒸発し干からびることになります。干からびると、皮膚は固く縮んでしまい、体を自由に動かすことが出来なくなります。これを防ぐために、うるおいを持つことで肌をやわらかく保っていると考えられます
肌のうるおいを保つ機能として、3つの要素があると言われています。皮膚の一番外側には角質層と言われる層状部位があり、角質細胞が積み重なっています。
1.1つ目の要素として、角質細胞が挙げられます。角質細胞は細胞という名前はついていますが、実はすでに死んでいる細胞で、ケラチンというたんぱく質の塊になっています。生きている細胞がいないので、角質層には大量の水は必要ありません。しかし、肌を柔らかい状態に保つためには20~30%の水分が必要です。その水分を維持するために、角質細胞はある方法を生み出しました。
角質細胞自体が水分を維持しやすい構造を持っていることです。ケラチンと言うたんぱく質は水分を保持しやすく、かつケラチン内にアミノ酸やミネラル類を多く含むことで長く水分を保つようになっています。化粧水などを使った際に肌が吸い込んだように感じるのは、ケラチンが化粧水を含んで膨らんでいるため(いわゆる“ふやけた”状態)で、皮膚の中に浸透しているわけではありません。ただ、角質細胞が含んだ水のおかげで、肌はやわらかい状態になります。
2.2つ目の要素として、細胞間脂質が挙げられます。そのすごさは、角質細胞と細胞の隙間を完璧に埋めている点です。角質細胞自体は非常に薄いため、容易に剥がれてしまいます。剥がれてしまうと皮膚の内部からの水分の蒸発を防ぐことが出来なくなるため、脂質で接着しています。この脂質を細胞間脂質と呼びます。最近はセラミドの言葉で知られていますね。セラミドは脂質の成分の一つであって、細胞間脂質そのものではありません。この接着剤は、皮膚の柔軟性を保つために、数%の水分を含むことで肌の柔らかさを維持しバリアを担っています。保湿感を感じる要因の2つ目は水分ではなく油ということになります。
最初に肌の保湿感を感じる3つの要素があると説明しましたが、3つ目も水分ではありません。それは皆さんもよくご存じの皮脂です。
3.3つ目の要素として、皮脂が挙げられます。皮脂は悪者にされることが多いと思います。多すぎるとテカリますし、ニキビの原因にもなります。でも、実は保湿感を感じる一番大切な要素です。
皮脂は1種類の油の成分で出来ているわけではありません。何種類もの油により、角質層の上で薄くベールのような膜になり、肌のバリアとして、そして保湿を感じる要素として良い仕事をしています。
肌のうるおいの正体は、水分というよりも皮膚を覆う油(皮脂)、これが保湿として感じる最大の要素、そして保湿と感じる肌の柔らかさは、油(細胞間脂質)と水(NMFとケラチン)がその役割を担っています。
肌の保湿は大切。正しい保湿をすることで美しい肌を維持できますね。ただし、あまりにも吸い付く保湿感は皮脂ではできないので、要注意です!