2021.01.29

顔を洗いすぎる日本人

今回のテーマは、「顔を洗いすぎる日本人」です。

日本人は、諸外国に比べて、きれい好きだと思います。私はドイツに4年半住んでいましたが、ドイツも非常にきれいな国です。しかし、日本もそれに負けず劣らず町がきれいです。観光でイタリアやフランスに行った時、アジア諸国を回った時、それぞれの国の情緒あふれるたたずまいは非常に美しいですが、道にはゴミが落ちていますし、インフラも十分ではありません。ボルネオに行った際には、下水のにおいで息子が泣き出したくらいでした(10年前です)。

きれい好きな日本人は、毎日お風呂に入りますし、朝シャワーを浴びてから出勤なんて方も多いのではないでしょうか?とても清潔でいいことだと思います。昨今のコロナ禍で、日本も感染者は増えているものの、諸外国よりも少ない感染者数で推移しているのは衛生管理がきちんとできる国民性からだと思っています。誇りですね!

ただ女性は体だけでなく、顔もきれいにしますね。メイクをする場合はなおさらでしょう。とにかくごしごし擦って洗い流すと思いますし、メイク落としのクレンジングの後、ダブル洗顔と称してさらに洗顔料でごしごししちゃいます。弊社の女性に尋ねると、クレンジングだけだときれいになった気がしないからと言っていました。

本当に良いことなのでしょうか・・・。

ダブル洗顔はダメ???

クレンジングは、オイルと界面活性剤と水で作られており、しっかりと顔の上のメイク用品を洗い流してくれるように設計されています。専門用語では可溶化と言いますが、汚れをしっかり包み込んでくれるので、かなりきれいに洗い流せます。弊社の女性のようにダブル洗顔したくなる理由は、おそらく洗い流した後も何かがくっついている気がするからだと思います。これを保湿感と標ぼうしている商品もありますが、確かにくっついています。それはオイルと界面活性剤です。

顔だけではありませんが、皮膚の上には皮脂膜という薄いオイルのベールで被われているのが健康な肌の状態です。そのベールとともに皮膚常在菌もいます。最近では腸内細菌が注目されていて、フローラと言った言葉も知られるようになりましたが、皮膚の上の常在菌たちも同様です。

常在菌たちは何をしているのでしょうか?

私たちの肌を守ってくれていることがわかってきています。肌の上には様々な細菌が存在していますが、表皮ブドウ球菌(善玉菌)と言われる菌は、自らそしてこの菌が作るペプチドが、皮脂が酸化して(過酸化脂質)皮膚を刺激することから肌を守っていることがわかりました。(イラストはイメージです)

さらに表皮ブドウ球菌は、乾燥肌を助長する黄色ブドウ球菌(悪玉菌)の増殖を抑制することもわかってきており、ますます皮膚常在菌の重要性が解明されてきています。

皆様の中には皮膚の常在菌というとアクネ菌(日和見菌)を思いだすと思いますが、アクネ菌は確かにリパーゼという酵素がトリグリセリドを分解して遊離脂肪酸にし、この遊離脂肪酸が皮膚の状態を悪化させると言われています。しかし、アクネ菌は嫌気性菌(空気が嫌いな菌)のため、皮膚の表面には顔を出していない菌なので、皮膚状態が悪化するのは何か他の要因があって、そのためアクネ菌が働くようになってしまったと考えたほうがよさそうです。ちなみにアクネ菌はどのような肌の状態であっても必ず存在する必要な細菌です。

洗顔料やクレンジング料には界面活性剤が含まれますが、界面活性剤は洗浄能力には優れた効果を発揮しますが、常在菌にはあまり良い影響を与えないことがわかってきました。

つまり、肌をごしごし洗うことは、肌をより悪い状態にしているかもしれないということです。擦ることによってより一層界面活性剤は肌にくっつくため、そこにいた常在菌たちは死んでしまいます。それだけでなく、元々界面活性剤は油を洗い流す作用が強い(前回のブログ)ので、肌のバリアを作っている皮脂や細胞間脂質を洗い流すことでバリアを弱めているわけです。
洗顔はごしごしではなく、泡を載せるだけで十分に洗い流せますし、クレンジングオイルだけでは不安な場合は、さらに洗うのではなく、化粧水をコットンにしみこませて、軽くふき取るので十分だと思います。

洗いすぎは禁物!

きれい好きな人ほど気を付けて欲しいと思います。